コミックスがドラマ化されたことで「悲劇」が起きてしまった(写真と本文は関係ありません)

 単行本累計100万部を超すヒット・ラブコミックス「セクシー田中さん」(『姉系プチコミック』小学館、2017年9月~2024年1月、未完)の作者で、家族から行方不明の捜索願が出されていた漫画家の芦原妃名子さん(享年50)が、1月29日、栃木県日光市で死亡しているのが見つかった、との報道がありました。

 テレビドラマ化された「セクシー田中さん」をめぐって関係者と摩擦があった後に失踪、自宅から遺書も見つかっており、番組化に伴うトラブルによって、自ら命を絶ったものと思われます。

 心からご冥福をお祈りしないわけにはいきません。

 とりわけ(あえてリンクはしません)X(旧ツイッター)1月28日午後1時11分付で「攻撃したかったわけじゃなくて。ごめんなさい」と書き残しているのを目にして、本稿を準備することにしました。

 テレビとはどういう業界かを端的に示す、あってはならない出来事がまた繰り返されているのを見たように思います。

 前回稿「『やすし』が教えた良心を踏みにじった『松本人志』」の後編を出稿しなくてはならないのですが、大学の1月、2月というのは入試だ、学位審査だ、とめちゃくちゃなスケジュールが続きます。

 ネットアクセスもできない状態で、数日のラグを挟んでチェックしてみると「長渕剛」だ「霧島聡」だ、と目を剥くような報道が並んで驚いていたところ、一番忙しい時にマシンは壊れるの原則、で日常使いのパソコンが壊れてしまいました。

 週明けまでファイルが取り出せなくなったタイミングで「セクシー田中さん」の訃報、「松本人志」から一貫する「視聴率とテレビ」の極めて根深い本質を記したいと思います。

ドラマ化多数、30年選手のベテラン

 漫画「セクシー田中さん」そのものについてはリンクに任せ、ここでは2017年9月(号)から連載が始まり、2018年には「an anマンガ大賞」を受賞、冒頭にも記した通り、コミックス累計100万部を超えるヒット作であることを確認しておきます。

 また、作者の芦原妃名子(1974年1月25日~2024年1月29日)さんについても、詳細はリンクに任せるとして、ここでは

① 1994年「別冊少女コミック」誌「その話おことわりします」でデビュー:30年のベテランである

②2005年に「小学館漫画賞」を受けコミックス累計700万部の「砂時計」が2007年まずTBS系列でテレビドラマ化、次いで2008年にはキャスト一新で映画化(東宝系) 

③2012年「Piece」が日本テレビ系列でドラマ化、2度目の小学館漫画賞:確立されたヒットメーカーで、ドラマ化の経験も複数持っている

④2023年10月、日本テレビ系列で『セクシー田中さん』がテレビドラマ化(全十話)。この際、第9話と最終話の脚本を漫画家自身が担当した。

 最後の部分に付随して、芦原さんはテレビからの「ドラマ化」の打診に対して

A「漫画に忠実にし、忠実でない場合は加筆修正をする」

B「ドラマオリジナルの終盤も、原作者があらすじからセリフまで用意し、原則変更しない」

C「原作者が用意したものを、そのまま脚本化する方法を想定したり、原作者が脚本を執筆する可能性もある」ことを条件として、ドラマ化を許可したことを1月26日(逝去の2日ほど前)にブログに記しています。