- 米連邦公開市場委員会(FOMC)は3月の利下げ転換に否定的な姿勢を示したが、年数回の利下げは確実な情勢だ。
- にもかかわらず、ドル/円相場は140円台後半と円安方向に粘着しているのはなぜか。
- 市場は既に米国の利下げと日銀のマイナス金利解除を織り込んでいるが、マイナス金利の解除だけでは満足しないかもしれない。
(唐鎌 大輔:みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト)
利下げに向けて発進開始
注目された米連邦公開市場委員会(FOMC)は現状維持を決定した。12月会合でハト派方向へ急ハンドルを切ったものの、過去1カ月の経済・金融情勢を踏まえ、ハンドルをややタカ派方向へ戻した格好である。
現状への自信は冒頭部分に表れており、経済活動(economic activity)について、12月の「slowed from its strong pace」が1月は「expanding at a solid pace」へと明確に上方修正されている。
より正確には、12月から1月にかけて蛇行運転気味だったものが、今後は直進安定性が増していくと読むべきかもしれない。
また、声明文ではフェデラルファンド(FF)金利の調整方向に関して、インフレが2%に向けて収束する動きについて「大きな自信が得られるまで(until it has gained greater confidence)」 は利下げしないと明記された。
さらに、前回まで「any additional policy firming」とした部分が「any adjustments」に変更された。引き締めバイアスの解消とともに、利下げ(reduce the target range)が前提となっている。
具体的な時期はさておき、利下げを念頭に置いて発進を始めた点が声明文から汲み取るべきポイントだ。
もっとも、その時期に関しては明確な言質が得られているわけではない。