3大会連続12度目の優勝を果たし、喜ぶ帝京大フィフティーン(国立競技場、写真:共同通信社)

落雷と大雪の中での「死闘」を制す

 第60回全国大学ラグビーフットボール選手権大会決勝は、34―15で帝京大学が明治大学に勝利し、帝京大は3年連続12回目の優勝を飾った。

 落雷の可能性があるため、前半22分過ぎから約55分間の中断があり、さらに再開されるや、大粒の雪(あるいはひょう)が混じるみぞれが降りしきる中での試合となった。

 明治大の廣瀬雄也キャプテンは記者会見で「雪の早明戦(雪の中で行われた、1987年12月6日のラグビー早明戦)を想起した」と語ったが、それほど過酷な気象条件のなか、両チームとも死力を尽くして戦い抜いたことに、まずは敬意を表したい。

>>【写真全7枚】大雪の中での過酷な試合、帝京のトライシーンなど

 結果は帝京大の勝利となったが、前半は14―12での折り返し。後半は帝京大が先に得点を重ねて引き離すが、明治大も食らいつき、終了間際までは12点差で試合が進んだ。

 明治大が1トライ取れば、勝敗はどちらに転ぶかわからないという展開。最終スコア以上に接戦だったと言っていいだろう。

後半、トライを決める帝京大の江良キャプテン(中央、写真:共同通信社)

 日本代表のエディ・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)も語っていたが、日本代表がさらに強くなるためには、大学生世代の強化は不可欠な要素だ。この日の両チームのように、高いレベルで切磋琢磨することこそが大学生世代の強化につながり、ひいては日本代表の強化へとつながっていくはずだ。

 もっとも、卒業する4年生たちの中には、この試合でトップレベルのラグビーからは引退する学生もいる。どの道に進もうとも、この日の経験は必ずや自身の糧となるだろう。彼らの今後の人生に幸多かれと願いたい。

帝京大─明大 前半、突進する帝京大・高本。この後先制トライを決める(写真:共同通信社)

 ラグビー大学選手権の話に戻ろう。別掲の表を見ていただくとわかるとおり、帝京大は前人未到の9連覇を達成したのち、3年間、優勝から遠ざかっていたが(この間、ベスト4が2回)、2021年度に王座を奪還し、今回の優勝で3連覇を果たした。同一大学が二度3連覇(以上)を成し遂げたのは、史上初だ。


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 この15年で12回もの優勝を果たしている帝京大。「なぜこれほど強いのか」と筆者もよく聞かれる。理由は一つではないし、究極的には「学生たちの頑張り」ということになるのだが、その頑張りを引き出す要素の一つとしてよく語られるのが、岩出雅之前監督が打ち出した「脱・体育会系」である。

 本稿では、帝京大の強さについて、この「脱・体育会系」に焦点を絞って見ていきたい。