100回目のラグビー「早慶戦」でプレーする両チームの選手たち/11月23日、東京・国立競技場100回目のラグビー「早慶戦」でプレーする両チームの選手たち/11月23日、東京・国立競技場(写真:共同通信社)

NHKが全国放送する100回目を迎えたラグビー早慶戦

 11月23日、第100回ラグビー早慶戦(慶應義塾大学関係者の中には「慶早戦」と称される方もおられることは承知しているが、ここでは「早慶戦」で統一させていただく)が国立競技場で行われた。

 試合は43―19で早稲田が勝利。ここ数年、接戦の多かった早慶戦だが、今年はやや点差が開くゲームとなった。

 この結果、100回の早慶戦で早稲田が73勝、慶應が20勝、7引き分けとなった。また、関東大学対抗戦の勝ち点では、早稲田が24で暫定3位、慶應が14で暫定5位となっている。

 毎年NHKで全国放送される早慶戦。73勝対20勝と大差になっているのは、体育推薦枠のある早稲田と、体育推薦のない慶應との差ということなのだろう。ちなみに、早慶戦と同様に、毎年NHKで全国放送される早明戦は、早稲田55勝、明治40勝、2引き分けと比較的競っている。

 一部からは「対抗戦の中の単なる1試合で、しかも早稲田のほうが大きく勝ち越すような対戦を、NHKが全国放送するほど特別視するなんておかしい」という声も聞こえてくる。

 ただ、やはり伝統の一戦というのはラグビーという競技にとっても特別であるし、この日の観客数2万7609人というのは、学生スポーツとしては大観衆と言っていい(秩父宮ラグビー場の収容人数、2万5194人を超えている)。NHKが全国放送するのも、純粋にコンテンツとしての視聴需要があるからだろう。

100回目のラグビー「早慶戦」で入場する両チームの選手たち100回目のラグビー「早慶戦」で入場する両チームの選手たち/11月23日、東京・国立競技場(写真:共同通信社)

 ここ数年の接戦を見ても、劣勢と見られがちな慶應の奮闘ぶりがうかがえる。「魂のタックル」と形容される慶應のタックルが低く突き刺さるシーンは、会場を大いに沸かせてきた。

 また、この日の試合後のインタビューで慶應の山田響選手が「(慶應は)1年間、この試合を目標に練習してきた」と語っていたように、あるいはJ SPORTSの放送で解説の藤島大さんが紹介していた早稲田の大西鐡之祐監督(当時)の「ここまで(早慶戦以前)はゲーム、ここからはバトルだ」という言葉からも感じられるように、早慶戦に臨む両チームの思いには並々ならぬものがある。

 本稿では、ラグビー早慶戦の歴史を振り返りつつ、100回も続いてきた早慶戦の意義について考えてみたい。