中古マンションを高嶺で売るにはどうしたらいいのか(写真はイメージ)

 中古マンション価格が上がり続けているため、売り出せばすぐに希望価格で売却できるのではないかと考えがちだが、必ずしもそうとは限らない。実際には、売り出し価格からある程度値引きした金額で契約が成立するケースが多いのだが、短期間でできるだけ高く売るにはどうすればいいのか。住宅ジャーナリストの山下和之氏がアドバイスする。(JBpress編集部)

短期間でできるだけ高く売れるような適切な「値付け」が決め手

 通常、中古マンション市場では、売り主と仲介会社が相談して売り出し価格を決め、仲介市場に売りに出す。それを見た購入希望者が仲介会社を通して売り主と交渉、購入希望者からの値引き交渉などを経て成約価格が決まり、契約に至るという流れになる。

 仲介市場が好調な時期であれば、ほとんど値引きなしに契約が成立することもあるが、多くの場合、一定の値引きが行われる。その成約価格が、売り出し価格から何%差し引いた金額になるのかを示す数値を「乖離率」という。乖離率の計算方法は、成約価格から売り出し価格を引いた数値を売り出し価格で割って、100倍したものになる。計算式にすると次の通りだ。

乖離率=(成約価格-売り出し価格)÷売り出し価格×100

 たとえば、売り出し価格が5000万円で、成約価格が4800万円なら、「4800万円(成約価格)-5000万円(売り出し価格)」÷5000万円(売り出し価格)×100」で、乖離率は-4%になる。つまり、売り出し価格から4%低い価格で成約しているわけだ。

 不動産情報サービスを提供するアットホームが、2018年7月以降に住み替えを行った人を対象に実施した調査(「マンション売却に関する実態調査」/2023年11月9日発表)によると、乖離率の平均は-4.5%という結果だった。5000万円で売り出した中古マンションは、平均すれば4.5%差し引いた4775万円で契約が成立していることになる。

 しかし、この乖離率、さまざまな条件によって異なってくる。【図表1】にあるように、まずは売却までにかかった期間によって差がある。

 売り出しから1カ月以内に売却できたマンションの乖離率は-3.0%、2カ月以内は-3.3%だが、7~12カ月では-7.4%に、13カ月以上では-8.4%になってしまう。なかなか買い主が現れないと、1割近く値引きしないと売れなくなってしまうわけだ。


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 この調査結果は、できるだけ売り出し価格に近い価格で売却するためには、何より購入希望者が買いたくなるような適切な価格で売りに出して、短期間で契約が成立するようにすることが重要であることを示している。