犠牲になるのは民間人
対人地雷は無差別に殺戮するがゆえに「悪魔の兵器」とも呼ばれている。また、その目的は人をなるべく殺さずに肢体不自由にすることだともいわれ、犠牲者のほどんどが民間人であることから1999年には使用や製造を禁止する条約が発効されている。
しかし、アメリカ、ロシア、中国、などは署名していないので意味がないと言えばその通りだが。
今、世界の78カ国に地雷が眠っているという。そして毎年1万5000~2万人が地雷で命を落としている。カンボジアでも地雷の犠牲になるのは大半が農民だ。土の中を流れて田んぼの下に潜む地雷もあるという。
のどかな農村を脅かす戦争の残り火。地雷の撤去作業は黙々と続けられているが、カンボジアだけでも今なお約600万個の地雷が眠っているという。
【橋本昇】
30年にわたり、フランスの写真通信社sygma(現在はgetty images)の契約フォトグラファーとして、国内の被災地や海外の内戦、難民を取材。著書に『内戦の地に生きる―フォトグラファーが見た「いのち」』(岩波ジュニア新書)がある。
