(国際ジャーナリスト・木村正人)
「ランセット」がウクライナ軍の前進を阻む
[ロンドン発]「ロシア軍は戦場におけるドローン(無人航空機)使用でウクライナ軍に追いつきつつある。カミカゼ(自爆攻撃)ドローン『ランセット』がウクライナ軍の前進を阻んでいる」――米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ、3日付)が報じた。ランセットは2つのX字型の翼を持ち、時速160キロメートル以上で目標に激突して自爆する。
英国防情報部も1日、X(旧ツイッター)に「ロシア軍の小型一方向攻撃型無人航空機システム(OWA UAV)ランセットはこの1年、ウクライナで実戦投入された最も効果的な新戦力の一つの可能性が高い。映像モニターで目標が特定されるまで敵上空で待機するよう操縦し、目標が定まると急降下して自爆するよう設計されている」と投稿した。
ウクライナも米国から供与された小型OWA UAV「スイッチブレード」でこれまで成功を収めてきた。ウォール・ストリート・ジャーナル紙が「ランセット-3M」と「スイッチブレード600」の比較をまとめている。数字で見る限り、ランセットの方がスイッチブレードよりはるかに軽量で、最高速度や航続距離でも優れていることが分かる。
英国防情報部によると、ランセットはドローン開発を専門にするザラ・エアログループ(露ウドムルト共和国の首都イジェフスクに所在)が製造。イジェフスクは国防、エンジニアリング、冶金で知られ、「武器庫の首都」と呼ばれる。自動小銃AK-47の製造など国防産業が地域経済の中心で、旧ソ連時代は、外国人立入禁止の閉鎖都市に指定されていた。