【この記事の要旨】
・神宮外苑再開発に関して「杜」がキーワードのようだ。サザンオールスターズの楽曲は「Relay~杜の詩」。「杜」には人が作り育ててきたというニュアンスがあり、神宮外苑再開発はこの「杜」が大規模に改変されようとしていることが問題であるといえる。
・「杜」といえば仙台市。行政に限らず産業界も積極的に関与し、「百年の杜づくり」は官民一体となって進められている。
・剪定方法や路線別・種類別の管理方針、脱クルマ社会化を見据えた取り組みなど、仙台市の街路樹管理に学ぶべき点は多い。「杜」に手を付けようとする組織や団体が、一度は見るべきだ。
(吉永明弘:法政大学人間環境学部教授)
自然に成り立つ「森」、人が作り育てる「杜」
神宮外苑再開発問題に関連して「杜」という言葉がキーワードになっているようだ。この問題を背景につくられたサザンオールスターズの楽曲のタイトルは、「Relay~杜の詩」である。
※「Relay~杜の詩」について、サザンオールスターズ・桑田佳祐氏は9月、TOKYO FM「桑田佳祐のやさしい夜遊び」で楽曲に込めた思いを語りました。ラジオ番組での桑田氏のコメントは本稿の後段で紹介しています。
明治神宮のHPにも「杜(もり)・見どころ」というページがあり、「永遠の杜」づくりの歴史が紹介されている。
自然に成立した「森」とは異なり、「杜」には人が作り育ててきたというニュアンスがあるという。神宮外苑再開発問題では、自然の「森」ではなく、過去の人々が丁寧に作り育ててきた「杜」が大規模に改変されようとしていることが問題になっているといえる。
こうしたなかで、日本の「杜」のあり方について考える上で参考になるのは、「杜の都・仙台」の事例である。