(英エコノミスト誌 2023年11月11日号)
米国は中国の強みに加えて弱点も理解する必要がある。
米国のジョー・バイデン大統領と中国の習近平国家主席が15日に行う首脳会談は重大な局面になる。
中東で起きている戦闘は、超大国間の対立の新たな戦域になる恐れがある。米国がイスラエルを支援する一方で、中国が(ロシアとともに)イランとの結びつきを強めるという構図だ。
南シナ海では、中国がフィリピンの船に嫌がらせを行ったり、飛行中の米軍機に戦闘機を危険なほど接近させたりしている。
来年には米中関係がさらに試されるイベントが控えている。
1月の台湾総統選挙では中国政府が毛嫌いしている候補が勝利する可能性がある。
米国では秋の大統領選挙が終わるまで騒々しい中国叩きが続く。
米国で高まる反中感情
米国の反中熱の高まりは、この巨大な専制国家がもたらす経済、軍事、イデオロギー上の脅威に対する従来の慢心の過剰修正でもある。
中国の危険性は現実に存在し、バイデン政権が中国の共産党指導者たちに立ち向かうべき分野は少なくない。
だが、中国の国力に対する米国の見方がカリカチュアと化してしまい、対立の引き金になり、最悪の場合は避けられるはずの紛争を招くリスクもある。
戦争に至らなくとも、そのような感情の高まりは莫大な経済的コストを発生させ、米国と同盟国を離反させ、米国を強くしている価値観を損なうことにもなるだろう。
それではいけない。米国は、中国の強みだけでなく弱点もありのままに評価する必要がある。
では、中国の弱点とは何か。最も理解されていない弱点の一つは軍事面の短所だ。
人民解放軍(PLA)は数十年に及ぶ近代化を経て、手強い軍隊になった。恐ろしい軍と言っても過言ではない。
総兵力が200万人、予算が年間2250億ドルに上り、PLAは世界最大の陸海軍と非常に大きなミサイル軍を擁する。
保有核弾頭は2030年までに1000発に達する可能性もある。