(堀井 六郎:昭和歌謡研究家)
2023年10月に始まったNHK連続テレビ小説『ブギウギ』。ヒロインである花田鈴子のモデルである笠置シヅ子は、戦後「ブギの女王」として一世を風靡した歌手として知られている。彼女はどんな人生を歩んできたのか?(JBpress)
笠置シヅ子、その生い立ち
スカートを翻しながら脚を上げ、はちきれんばかりに大きな口を開けて明るく歌う笠置のステージからは想像しにくいのですが、笠置の人生は順風満帆なものではありませんでした。
大正3年(1914)、香川県相生村(現・東かがわ市)に生まれた笠置は、生後まもなく、もらい乳をしてもらっていた女性の養女となり大阪で育ちます。
小学校を卒業後の昭和2年(1927)、13歳で松竹楽劇部生徒養成所に入り、同年8月、三笠静子の芸名で初舞台を踏みます。
育ての母が養母だったことを知るのはそれから4年後、17歳の頃でした。
松竹の養成所に入所する前に宝塚少女歌劇を受験していますが、あいにく不合格となっています。生来の素質から不合格は信じられませんが、実は歌と踊りに問題はなく、身長が低く、肉体的に厳しい稽古に耐えられるかどうかが心配されて、というのが理由だったようです。
残されている笠置の映像を見ても、小柄なイメージがわかないのは、そのダイナミックな歌と踊りに見る者たちが圧倒されているからなのでしょう。なお、30代当時の笠置の身長は150センチ前後だとされています(147センチという説もあります)。