(写真:PA Images/アフロ)

 米アップルの幹部が中国当局者と会談し、アプリの配信を制限する同国の新規則に対する懸念を表明した。米ウォール・ストリート・ジャーナルロイター通信が9月29日に報じた。

西側SNSアプリの配信禁止か

 関係者の話によると、中国当局はアップルに対し、未登録アプリの配布を禁止する規則を厳格に順守するよう伝えた。これに対しアップルの幹部は、規則がどのように運用され、利用者に及ぼす影響がどのようなものになるのか懸念していると述べた。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、この会談については、これまで報道されたことがなかったという。

 中国政府によるアプリ制限は、同国のiPhoneユーザーが、人気の西側SNSアプリをダウンロードできるという、「グレート・ファイアウオール(金盾)」(インターネット検閲システム)の抜け穴をふさぐことを意味する。「Instagram(インスタグラム)」や「X(旧ツイッター)」「Facebook(フェイスブック)」「YouTube(ユーチューブ)」「WhatsApp(ワッツアップ)」などが影響を受けることになる。

 中国政府は長年、これらのウェブサイトへの接続を遮断しているが、アプリをダウンロードした中国のiPhoneユーザーは、VPN(仮想私設網)を介して国外のインターネットサーバーに接続し、これらのサービスを利用している。中国はVPNの利用を禁止している。だが、多くのユーザー、とりわけ若い世代はこの方法を利用していると、ウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。

 米調査会社センサータワーの推計によると、これらの5つのSNSアプリは過去10年間に、アップルの中国版「App Store」から、計1億7000万回以上ダウンロードされたという。

 Instagramが最も多くダウンロードされた西側SNSアプリであり、その2012年以降のインストール件数は約5400万件。Facebookは3700万回、YouTubeは3400万回、Xは3300万回、WhatsAppは1300万回だという。

中国、アプリに事業内容届け出義務化

 ロイターによると、中国では22年6月、サイバーセキュリティー法を所管する国家インターネット情報弁公室(CAC)が、アプリストア運営企業に事業内容の詳細を届け出るよう求めた。このときCACは、もしアプリストア内のアプリに違法コンテンツが含まれていた場合、その責任はアプリストア運営企業に負わせると明らかにした。