少数の密度あるイベントにしようということで、参加者の定員は6人ほど。小規模なイベントにもかかわらず、9月8日夜のネットワーキングには、村瀬優・広尾町長も駆けつけた。
「広尾町には豊かな自然があり、大地や海の恵みも盛りだくさん。でも酪農や漁業の担い手が年々高齢化して、後継ぎがなくやめていく生産者も多い」
「そんな中で、外から来てくれた人たちがアイデアを凝らして町を活性化させようと努力してくれている。町としても全面的にバックアップしていくつもりです」
ピロロで活動する人たちは移住者ばかりではない。
地元の漁師にも革命家がいた
地元で何代にもわたって猟師を続けてきた家の若い担い手もいるし、林業の作業を機械化して効率を高め、衰退を止めるだけでなく新しい付加価値をもたらそうと意気込む地元の若者も参加している。
都会からの移住者と、地元の意識の高い若者の集まり。それがピロロの魅力であり活動の原動力となっている。
移住者がよそ者扱いされてしまえば、地元の人との小さなトラブルがいつしか取り返しのつかない溝に発展してしまう危険性がある。
そうした実例は今や日本中に見られる。
地元と移住して来る人との密接なコミュニケーションは何を置いても最も大切だ。ピロロは広尾町でその役割を担っている。
ピロロで地元代表とも言える存在が地元で漁師を3代続けて営んできた保志弘一さんだ。1985年生まれの38歳。
高校を卒業すると、すぐに父親の漁を手伝った。
「苦労してきた父親の背中をずっと見てきたので、18歳で高校を卒業したら手伝おうと決めていました。ほかの進路なんか考えたこともなかった」
「とにかく一生懸命働いて、少しでも親父を楽にしてやろうと思いました。遊びたい盛りとか言われましたが、僕には遊ぶより稼ぎたいという気持ちしかなかった」
酒は体質的に受け付けないそうだが、大人びたくて興味半分に手を出す人も多いタバコも一切やらなかったという。また、どこまで本当かは分からないが、女っけもなかったそうである。