経営力がまぶしい日本の市町村50選(47)
貪欲に取り入れるオープンなカルチャー
静岡県三島市は、県東部の都市で面積が62.1km2、人口はこの20年間11万人前後をキープしている。奈良・平安時代は伊豆の国府、江戸時代は三嶋大社の門前町および東海道五十三次の1つでもあった。
今は品川駅まで新幹線で37分という立地の良さや、「水の郷百選」にも選ばれるほどのきれいな水資源と豊かな自然が、人口減を抑止している一因にもなっている。
三島市の魅力はそれだけではない。
かつての宿場町でもあり、門前町でもある当市は、他地域の人々との交流が盛んだったためオープンな文化が根づいており、良いものは貪欲に取り入れる土壌がある。
歴史ある土地柄にもかかわらず、常に新しい血液が流れていることが地域の活性化につながっていることは間違いない。
一方で東京から三島までの間に位置する小田原や熱海などは、旧態依然とした硬直的な気質が弊害となり時代の流れに乗り遅れ、地域のリソースを十分に生かし切れていない。
オープンネスの一例としてはグラウンドワーク(Groundwork)が挙げられる。当市では、「水の都・三島」の水辺自然環境の再生と改善を目的として、1992年に市民・行政・企業のパートナーシップを導入するグラウンドワークの手法を導入した。
グラウンドワークとは、1980年代に英国で始まった実践的な環境改善活動のことで、トラストと呼ぶ専門組織が仲介となり、住民が行政や企業とパートナーシップをとりながら、地域の環境改善活動に取り組む。
英国では、このトラストが全国に40か所以上あり、年間約4万人のボランティアの協力を得て、約3000件のプロジェクトを展開している。