昭島市にある拝島の渡し(昭和11年)。ウィキペディアより

経営力がまぶしい日本の市町村50選(46)

修了後を見据えたプログラム

 東京都昭島市は、面積が17.3km2、人口11万2850人(2017年4月現在)のベッドタウンである。

 軍関連施設や昭島飛行場の街であり、また戦争中にほとんど空襲を受けなかったのが幸いして、今では日本の航空史を探訪することができる。テクノロジー研究と先端技術関連の集積の歴史を持つ街でもある。

 そんな昭島市では、平成14(2002)年9月に公民館主催事業として学習課程2年の昭島市民大学を創設した。

 「自発的な学習を通しての自己実現の機会提供」「自治能力や連帯意識の形成」「市民大学や各種講座の企画・運営への参画」「学習成果の地域社会への活用」を目的とし、現在、昭島市民大学は第8期目に入っている。

 受講対象は、40歳以上の昭島市内在住在勤者で 2年間にわたって受講できる者で、先着50人となっている。受講料は1年次、2年次ともに2000円(全回分)である。

 1年次は、幅広い教養や知識の習得、2年次は、財政・福祉・歴史・環境などのカテゴリから3グループに分かれ、チューター(個別指導教官)の指導のもとにゼミナール方式によるアクティブラーニングで実践的な学習を積む。

 特に2年次は各自がテーマを決め、約1年かけてリポートにまとめる。ちなみに私も財政コースのチューターとして創設当初からお手伝いさせてもらっている。

 もともとは平成8(1996)年に公民館運営審議会から公民館長に対して、市民の生活課題や地域的、現代的課題をテーマに「地域を学ぶ講座~キャンパス昭島・未来21~」が提言され、環境や福祉などに絞り5~6回の講座が開催されたのが市民大学の発端である。

 その後、地方分権の時代において国と都道府県・市町村の関係が対等・平等になる中で、市民としての意識を高め自治能力を養うことが重要な課題となり、市民大学の創設に至った。

 全国にも市民大学や生涯学習の場は多々あるが、以下の様々な活動や成果が包括されている点で昭島市民大学の活動は秀でていると思われる。