経営力がまぶしい日本の市町村50選(50)
女性がイキイキ活動するまち
歌劇団で有名な宝塚市は兵庫県南東部に位置し、住宅地が広がる南部市街地と、豊かな自然に囲まれた北部田園地域から成っている人口約22万5000人(2017年12月現在)の町である。
「歌劇と温泉のまち」としても知られ年間877万人もの観光客が訪れるが、市内には神社仏閣もたくさんあり歴史を味わうことのできる町でもある。また、山本の植木産業は数百年の歴史があり、伝統的植木生産地域としても知られている。
そして何より、この町は女性がイキイキと活動している。
町全体が包容力に包まれ、温かいおもてなしがそこかしこに感じられる。他市に先駆けて男女共同参画施策に取り組んできたという背景もあるが、宝塚歌劇団の存在抜きには語れないだろう。
「清く 正しく 美しく」
宝塚歌劇は大正時代の1914年に始まる、未婚の女性だけで構成される世界でも珍しい劇団である。
現在の阪急電鉄の発展に貢献し、日本初のターミナルデパート阪急百貨店の開業にも尽力した小林一三による発案に基づく。
そのモットーである「清く 正しく 美しく」は小林一三の教えであるが、歌劇団としてステージに上がるための登竜門である宝塚音楽学校の校訓として予科・本科の2年間にわたり徹底的に教え込まれる。
一流の舞台人として、音楽や舞踊、演劇といった芸能の基本はもちろんのこと、一人の女性としての品性、人格が伴ってはじめて見る者の心を動かす演技ができると考えられている。
さらには、音楽学校の付属校として、小学4年生から中学2年生までの女子を対象とした宝塚コドモアテネが開講しており、宝塚音楽学校を目指す子供たちが毎週日曜日に学んでいる。
大正初期に誕生した宝塚少女歌劇によっていち早く西洋音楽に親しんだ宝塚では、シャンソンやジャズ、クラシックなどが演奏され、日本のオーケストラの先駆けともなった。