ベトナム・ハノイ旧市街の電車通り(資料写真、出所:Pixabay)

(川島 博之:ベトナム・ビングループ、Martial Research & Management 主席経済顧問)

 ベトナムに滞在していると不思議に思うことがある。それはベトナムに多くの韓国人が暮らしていることだ。日本人は約2万人だが、韓国人は20万人以上がベトナムに住む。ハノイやホーチミン市にはコリアンタウンがある。

 韓国の人口は日本の4割程度でしかないのに、なぜ日本人の10倍以上もの韓国人がベトナムに住んでいるのであろうか。

「負け組」が一発逆転を狙ってベトナムに

 歴史の中でベトナムと韓国の仲が特に良かったと言うわけでもない。むしろその逆で、ベトナム人は韓国人に対して複雑な感情を抱いている。それはベトナム戦争の時に韓国が米国の要請に従って多くの兵士をベトナムに送ったためだ。ベトナム人は韓国軍兵士が行った数々の残虐行為を今も記憶している。

 ベトナム人は日本人と韓国人を識別することができないので、レストランなどで韓国人と間違われることがある。私が自分は日本人だと言うと、おしなべて好意的な態度を示してくれる。おぼつかない英語で「日本人は好きだが、韓国人は嫌いだ」という人までいる。