イギリス・ロンドンで行われた映画「バービー」プレミアに登場したマーゴット・ロビー(右)とライアン・ゴズリング(資料写真、2023年7月12日、写真:REX/アフロ)

(川島 博之:ベトナム・ビングループ、Martial Research & Management 主席経済顧問)

 ベトナムで米国映画「バービー」の上映が禁止された。映画のあるシーンに九段線が入った地図が写っているためとされる。また韓国のガールズグループである「BLAKPINK」の公演もストップがかけられている。これは北京にある「BLAKPINK」公演の主催会社のホームページに、「九段線」が入った地図が掲載されていたためとされる。

中国とベトナムの領海を巡る対立

 九段線とは南シナ海における領海の境を示す線である。中国は線の内側を中国の領海としているが、それは牛の舌のような形で南シナ海のほぼ全域を覆い尽くしている。

中国が主張している“九段線”(緑色)、U.S. Central Intelligence Agency, Public domain, via Wikimedia Commons
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 九段線は1947年に中華民国が「十一段線」として設定したものを、中華人民共和国が2本削って1953年に新たに設定したものである。そんな九段線だがハーグの仲裁法裁判所は2016年に、中国の一方的な領海の設定は国際法上において根拠がないとした。しかし中国はその判決に従うつもりはさらさらない。

 現在、中国はベトナム、フィリピン、マレーシア、インドネシアと九段線を巡って係争を抱えている。その中でもベトナムとの争いは特に深刻な対立になっている。それは他の3国とは異なり、ベトナムが陸続きで中国に接しているからだ。