外務省の南東アジア第一課への取材によると、ここでいう違法活動には、出稼ぎ風俗や「オレオレ詐欺」などの特殊詐欺が含まれている。担当者は、「これまでのところ邦人被害に関する情報には接していないが、邦人保護の観点から、必要な情報収集を行っている」と説明した。

日本で風俗は「稼げなくなった」

 上述のラオスでの出稼ぎ風俗のように、ここ数年はインターネット上における海外での出稼ぎ風俗に関する求人情報が増加傾向にある。

 その理由について、アジア各国のキャバクラで勤務経験があり、国内外の夜の街を取材しているフリーライターのカワノアユミ氏は、「日本では以前よりも風俗店で稼げなくなったためだ」と指摘する。

「パパ活アプリの参入によって、風俗店に行くよりも安く女性と性行為ができるようになった。新型コロナの影響もあり、風俗店に客が戻ってきていない。そうした状況下で、高収入といった条件に惹かれ、海外での出稼ぎ風俗に関心を持つ女性が増えているのではないか」(カワノ氏)

ラオスにある「事実上の中国の植民地」

 法整備が未発達なラオスの状況も、こうした違法な出稼ぎ風俗を呼び寄せる原因となっている。中でもタイと国境を接しているボケオ県で、中国資本により開発されたゴールデン・トライアングル経済特区(SEZ)は、中国人を中心とした犯罪の温床となっているとして懸念が高まっている。

 米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)は、同SEZを「事実上の中国の植民地」と表現し、売春斡旋やオンライン詐欺、マネーロンダリング、麻薬の密輸などのさまざまな犯罪が日常的に行われていると指摘する。SEZが設立された07年から22年8月までに、人身売買の被害者が1700人近く救出されたとしている。

 RFAの6月30日付の記事によると、SEZ内では銃撃事件も発生しており、地元住民から治安に対する心配の声が上がっている。ある住民は、「SEZ内では銃がケーキのように売られている。身の安全を保てるかどうかは、金と権力を持っているかで決まる」と不安な胸中を吐露している。

 ボケオ県当局はRFAに対し、「銃撃事件があったことを把握しているが、ラオスの法律がほとんど及ばない中国の支配地域には立ち入ることができない」と説明。エリア全体が無法地帯になっている実情を明らかにしている。

コロナで被害者増加

 新型コロナの影響で経済的に困窮した現地の女性が、同SEZ内の性風俗店に売り飛ばされるケースも多発している。筆者が22年8月にラオスの首都ビエンチャンを訪問した際、中心地の多くの店でシャッターが閉まっており、街中は閑散としていた。当時取材した政府関係者からは、「コロナの影響で観光収入が激減し、住民の暮らしは困窮している」と聞いていた。

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