工事が続く間は転居?治水対策工事に対する複数の困惑
集合は源流から約5キロ地点の西田端橋。川幅は十数メートルほどで、両岸の遊歩道に沿って住宅が並ぶ(下写真)。
集まったのは「緑の会」のメンバーの他、杉並区議会の赤坂たまよ議員、酒井まさえ議員、樋脇岳議員、それに東京都議会の原田あきら議員など計16人。
現在、工事が行われている区間は、西田端橋からその下流側の神通橋までわずか300メートルほど。
歩き始めるとすぐ、遊歩道に「この先河川工事につき通り抜け出来ません」の看板が現れる。迂回して、河道を広げる工事現場を覗き込むと、護岸はほとんど直角で川底に向かって鋼矢板が突き立てられ、深くなっている。細切れの工事区間にもかかわらず、期間は2021年10月から2024年2月末までと長い。土日祝日を除いて朝8時から夕方5時。鋼管杭を打ち込む音が凄まじく、長引く工事で精神的に参ってしまった住民もいるという。
後日、第三建設事務所に聞くとそれは事実で、「プライバシーに関わるので詳しくは言えないが、工事が続く間は転居してもらうなどの対応を行っている」という。
川沿いの快適な居住環境のはずが、数年もの間、朝から晩まで、自宅前が工事現場となる苦痛は想像に難くない。
「河道を広げる時は、普通、下流から順番にやるんです。上流から始めて、その下流が狭いとそこがボトルネックになって溢れてしまいますから。でも、善福寺川は、下流からだけでなく中流でも同時に河川改修を始め、調整池を作って水を貯め、下流が溢れないようにするやり方をしています」と歩きながら、住民に情報共有を行ったのは杉並区選出の原田あきら都議だ。
原田都議のいう調整池の一つは、神通橋すぐ下流の、草野球ができる広さの「なかよし広場」の下を掘ってできたばかりだ。この調整池には、川が一定の水位に達すると、最大3.5万立方メートル(m3)の水が流れ込む。このような調整池が、善福寺川流域だけで整備中もあわせて4つある。
調整池の完成後も、広場沿いの川は鉄板などで蓋をされ、資材や重機の置き場になっている。工事は、細切れに区間に分けて順次、行われているが、こうした置き場などは工事期間よりも長期にわたって安全確保のための塀で覆われ、圧迫感を感じる人は少なくない。