調整池約1個分が20分でいっぱい、回避するための法律
豪雨の際に善福寺川に流れ込むのは、杉並区に降る雨水だけではない。
隣接する武蔵野市の「合流式下水道」、すなわち雨水が下水道に入っていく方式によって、武蔵野市に降った雨も、下水管を通じて、善福寺川に滔々(とうとう)と流入する。
その最大流量は都によれば、「排水管の形状からすると毎秒25m3程度」。また武蔵野市によれば河川管理者等との協議を行った際の資料で「毎秒27m3以下」とされているという。単純計算すると、善福寺川に設置された調整池約1個分が、武蔵野市からの流入で、20分程度で一杯になる。杉並区内で河道を広げ調整池を作っても、他の自治体に降った雨で浸水被害が起きることもあり得る。
武蔵野市の雨は、杉並区を流れる善福寺川のほか、他区市の石神井川、神田川、野川の計4つの川に排水される。
実は、こうした都市河川に特化した法律が2003年にできた。
特定都市河川浸水被害対策法という。短時間の豪雨で起きる都市の浸水被害の軽減のために、国土交通大臣や都道府県が流域や区域を指定して、関係自治体や民間事業者も協力して、豪雨が一気に川に流れ込まないように、雨水を貯留したり浸透させたりする施設を作りやすくする法律だ。ダムや堤防だけに頼らない治水が形になったものだ。