清原和博氏の次男で2年生の清原勝児(写真:共同通信フォト)

(大利 実:スポーツライター)

3度の甲子園出場を誇るイチロー世代の監督

 7月7日に開幕した第105回全国高等学校野球選手権記念神奈川大会。史上4例目の3連覇を狙う横浜高校とともに、優勝候補の一角に挙がるのが、春夏連続出場を狙う慶應義塾高校である。春のセンバツでは仙台育英高校(宮城)にタイブレークの末、サヨナラ負けを喫したが、甲子園でも戦える力を十分に見せた。

 センバツ後に行われた春の神奈川大会では、「競争」と「変化」をテーマに、打順やポジションをさまざま入れ替える中で、投打がかみ合い12年ぶりに優勝を飾った。

 類まれなリーダーシップを持つキャプテンの大村昊澄(3年)、春の大会で3試合連続弾を含む5本塁打を放った主砲の渡邉千之亮(3年)、140kmを超えるストレートを投げ込むエース右腕の小宅雅己(2年)らが中心となり、第1シードとして夏の甲子園に挑む。

 2015年の新チームから指揮を執るのが、慶應義塾高OBの森林貴彦監督(50)である。1973年生まれのイチロー世代。慶應義塾大学時代から学生コーチとして母校の指導に携わっていた。

 大学卒業後、一度はNTTに就職したが、「指導者として甲子園に出場したい」という気持ちが日に日に大きくなり3年で退職。筑波大学の大学院でコーチングを学んだあと、2002年から慶應義塾幼稚舎(小学校)の教員になると同時に、母校のコーチに戻った。監督に就任して以降、2018年春夏、2023年春と3度の甲子園出場を誇る。

 現在も、渋谷区にある幼稚舎の教員を続け、クラス担任も受け持つ。15時頃まで幼稚舎で働き、電車で高校がある横浜市の日吉に移動する。「小学校教員&高校野球監督」という“二刀流”の肩書きを持つ指導者もそうはいないだろう。5時20分に起床し、21時頃に横浜市内の自宅に帰る日々を続けている。