(英エコノミスト誌 2023年6月24日号)

ロシア軍侵攻前のウクライナの首都キーウ

ロシアの戦争を失敗に終わらせるには、ウクライナが豊かで民主的、かつ安全な国として台頭せねばならない。

 ウクライナの戦争では、2つの前線で激しい戦いが続いている。

 長さ1000キロに及ぶ戦線では、深く後ろに下がったロシアの部隊をウクライナ軍が攻撃している。

 それと同時に国内戦線(いわゆる銃後)では、終戦時にどのような国になるつもりなのかを決めようとしている。

 どちらも大事なことだ。そしてそのどちらも、ウクライナとその支援国に厳しい試練を突き付ける。

反転攻勢の行方

 ウクライナ軍の反攻が始まって2週間になるが、計画通りには進んでいない。

 取り戻した領土もあるが、軍には損害も出ており、地雷原や戦車トラップ、塹壕などで数キロの厚みを得たロシア軍防衛線を突破するには至っていない。

 たとえ一部の防衛線を突破できたとしても、敵の大砲やドローン(無人機)に見つかって破壊されるリスクがある。

 背筋の寒くなる見通しだ。

 しかし、ウクライナ兵の大半はまだ戦場に入っておらず、入るまでは誰一人――ウクライナ軍の将軍たちでさえ――両軍の本当の強さは知りようがない。

 ウクライナ軍は今後数週間かけてウラジーミル・プーチンが持ち堪えられるかどうか見極め、残りの戦いについて軍事的な条件を定めることになる。

 国内戦線はそこまで劇的ではないが、すべてがその帰趨にかかっている。

 ロシアは一定の土地を占領し続けるかもしれないが、それでもウクライナが豊かで民主的、かつ安全な国になれば、プーチン氏の戦争は完全に失敗したことになる。

 逆に、ウクライナが占領地を奪回しても汚職や貧困、政治的暴力の泥沼に沈んでしまったら、市民があれほど勇敢に戦って追い求めた理想を手放すことになる。

 こうした成功や失敗の基礎は、ロンドンで先日開かれた会議と、7月11~12日にリトアニアの首都ビリニュスで開かれる北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で築かれることになる。