- 中国の大学・専門学校に入学する学生数は1000万人を大きく上回っているが、卒業後の企業就職率は半数程度にとどまっている。
- 新設の学部数は減る一方で、廃止学部数は増えていて、近々数が逆転する見通しだ。
- その背景には、中国の産業構造の急激な変化がある。
(加藤勇樹:中国広東省在住コンサルタント)
2022年度に中国の大学・専門学校に入学した学生数は1113万人。今年はそれをさらに上回ると見られます。その一方で、卒業しても企業に就職できない学生はますます増えています。その実情と、背景にある環境の変化をお伝えします。
なお、中国では大学と専門学校をあわせて「高等教育」機関と呼んでいますが、以下では大学と専門学校をまとめて「大学」と記述します。大学と専門学校はほぼ同じ規模です。大学数は1270で専門学校数は1489(「全国高等学校名単」による)、1学年の大学生は561万人で専門学校生は552万人(2022年の入学生数)です。
増え続ける大学生
大学への入学者は2022年度で1113万人(大学生561万人、専門学校生552万人)でした。しかも大学生は増え続けています。
大学と専門学校(そのほか職業学校も含む)の入学試験が、「高考」です。この高考受験者の推移を見てみましょう。
1977年の高考受験者は570万人(中断していた数年分の受験者がいたため、人数が多くなっている)でした。その当時は大学の数が少なかったため、合格者(入学資格の獲得者)は受験者の5%(約4万人)にすぎませんでした。受験者は1997年時点でも278万人でした。
それが、次のグラフに示すように、2019年には1000万人を突破するまでに増え、2023年の受験者は1291万人に達しました。しかも、受験者の90%前後が合格し、大学に進学しているのです。
学生は増え続ける一方で、卒業生の就職は厳しい状況になっています。