- 6月14日に開催されたトヨタ自動車の定時株主総会で、欧州の機関投資家3社の気候変動に関する株主提案が否決された。注目された豊田章男会長の取締役再任は可決された。
- 脱炭素に向けた世界の潮流は電気自動車(EV)の推進。ハイブリッド車(HEV)や水素エンジン車なども手掛けるトヨタはこの潮流に乗り遅れた。
- 機関投資家と環境NGO(非政府組織)はタッグを組んで企業に揺さぶりをかける。「環境総会屋」と見る向きもあるが侮ってはいけない。
今年6月14日に開催されたトヨタ自動車の定時株主総会で、欧州の機関投資家3社が気候変動に関する株主提案を行った。トヨタの総会で株主提案が出るのは18年ぶりで、豊田章男会長が社長に就いた2009年以降では初めてだ。
株主提案の内容は、トヨタが行っている国際渉外活動の中に気候変動に対するネガティブなものがあるとして、渉外活動の内容がパリ協定や「2050年にカーボンニュートラル実現」というトヨタの目標と整合しているかについて報告書を作成すること、報告書には目標と整合しない活動も記すこと、こうした対応を行うことを定款の中に盛り込むこと――などを求めるものだ。
今回株主提案を行ったのは、デンマークの年金基金「アカデミカーペンション」、オランダの「APGアセットメントマネジメント」、ノルウェーの「ストアブランド・アセット・マネジメント」の3社。提案の狙いは、トヨタが気候変動に対してマイナスのロビー活動を行い、それが結果としてトヨタの経営や企業ブランドに悪影響を与えていないか確かめる手段を確立させることにあると見られる。
アカデミカーペンションによると、21年に同様の株主提案を行うことを計画したが、トヨタ側がロビー活動の内容を見直すことを約束したため、いったん取り下げた。しかし、見直しが進まなかったため、22年にも株主提案を行おうとしたが、トヨタ側から非公開の締め切り日を過ぎているとして受け付けてもらえなかったという。
これら機関投資家は、要はトヨタの国際渉外活動が、トヨタの企業価値を落とすリスクがあり、そうなれば株価や配当にも影響する可能性があると見ているのだろう。
では、トヨタがどのような国際渉外活動を行っているのか。