(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)
2023年4月26日、日野自動車は2023年3月期の決算について報道陣向けにオンライン説明会を実施。冒頭で小木曽聡社長は一連の認証不正問題に関して、「お客様、株主様、投資家様に多大なるご迷惑をおかけし、改めてお詫び申し上げます」と頭を下げた。
日野がこの件で最初に記者会見を行ったのは2022年3月4日だった。日野は、同社が企画製造するトラックやバスが搭載するエンジンの認証において、国が定める基準に満たない事例が確認されたと発表した。
これを受けて日野は外部有識者による特別調査委員会を設け、同年8月2日に全277ページの調査報告書をまとめた。それによると、3月4日の発表時点では不正対象は中型エンジン1機種と大型エンジン4機種における2016年度排出ガス規制としていたが、実態はさらに深刻で、認証不正は2000年代から様々な機種で行われていたことが分かった。
特別調査委員会は、認証不正の原因は「社員が上にものが言えない」企業風土にあるとし、日野に対して「企業風土の抜本的な見直しが必須である」と結論付けた。
国土交通省は、日野による一連の認証不正を受けて、対象エンジンの型式取り消しを順次行った。日野側は2022年10月7日に、国交省に対して「型式指定に係る違反に対する再発防止報告書」を提出すると同時に、二度と不正を起こさないための「3つの改革」を作成したと発表した。