大幅商品改良されたマツダのコンパクトカー「MAZDA2」

開発陣と消費者の間にあった「認識のギャップ」

「CX-5」→「MAZDA2」→「CX-30」→「MAZDA3」→「CX-8」→「ロードスター」。これはマツダの国内登録車の販売比率(2022年1月~11月)を多い順に並べたものだ。この実績を見ると、Bセグメントに属するコンパクトハッチバックのMAZDA2が、同社にとっていかに重要な位置を占めているかが分かる。

 振り返ると、初代の「デミオ」が登場したのが1996年。当時、業績低迷下のマツダにあってヒットしたデミオは“救世主”と呼ばれ、同社が息を吹き返す起点となったクルマでもある。その後、2002年に2代目、2007年に3代目、2014年に4代目が登場し、2019年からは海外市場と同様にMAZDA2と車名を変更して今日に至っている。

 そのMAZDA2が大幅商品改良を受け、今年の3月末から発売となった。掲げている志は、「コンパクトカーだからこそ」の価値を守る、「コンパクトカーだから」の妥協をしない、「コンパクトカーなのに」を追求する──の3点だ。

 たとえば「妥協しない」という点に関しては、マツダが重視する最適なドライビングポジションの確保を貫き、ペダルの配置位置を上級車種とまったく同じにするなど、随所にこだわりが見える。

 今回の商品改良の狙いについて、2020年からMAZDA2の主査を務める商品本部(4月1日より商品開発本部に改称)の水口浩司氏はこう語る。

「この 5年ほど、MAZDA2は20代から30代のお客さまの購入層が減っていました。なぜ減ったのかは、実際にお客さまの声をひろったり調査データを見たりしたうえで、社内でもいろいろな議論を重ねてきました。そこで分かったのが、マツダのクルマを高く評価してくださる方が増えている一方で、当社のブランディングが浸透してきたがゆえに、若い方々には『MAZDA2は少し敷居が高いクルマだね』というイメージも持たれていたのです。

 特に女性の間では『私たちが普段、日常の足として乗るクルマというより、クルマ好きの人のためのクルマでしょ』といった声が増えていました。当社のエンジニアからすれば、老若男女、どなたが運転しても楽しくて安全なクルマを作っている思いが強いのですが、若年層や女性の方々とは認識のギャップがありました。

 若い人たちに振り向いてもらうためには何か打ち手を講じないといけない。そこにチャレンジしたのが今回の商品改良です」

「MAZDA2」の開発を主導したマツダ商品本部主査の水口浩司氏(撮影/内海裕之)