「VX4」の飛行イメージ(写真提供:丸紅)

大阪万博で名乗りを上げた4機種5事業者

 今年2月、2025年大阪万国博覧会で日本の空にデビューする“空飛ぶクルマ”4機種が発表された。米Joby Aviationの「eVTOL Joby S-4」、独Volocopterの「Volocity」、英Vertical Aerospaceの「VX4」、そして日SkyDriveの「SD-05」である。4モデルとも自動フライトではなく、操縦士が搭乗する。運行事業者は全日空、Joby Aviation、日本航空、丸紅、スカイドライブの5社。

「Volocity」の飛行イメージ(写真提供:Volocopter)

 空飛ぶクルマといえばトヨタ自動車が東京オリンピックの開会式で有人機を使用して聖火台に着火させることを目指していたのが記憶に新しいところだろう。だが、実現させることができなかった。そのリベンジステージでもある大阪万博では、単なるイベント飛行ではなく、乗客を運ぶ商用飛行を行うという。

 といっても、大阪万博の期間だけの特別就航というのではただのパフォーマンスにすぎない。この大阪万博におけるエアタクシーが日本の空に新しい時代をもたらすことになるかどうかは注目点のひとつだ。

 運行事業者として万博に出展する5社のうちの1社、丸紅は歴史的な経緯から商業航空路線用の旅客機より官需やプライベート需要を得意とする商社だ。現在は高級ビジネスジェット「ガルフストリーム」や小型ジェット「ホンダジェット」の代理店として知られる。また自衛隊向けや警察向けのヘリコプターを通じて回転翼機の経験も積んでいる。

 その丸紅関係者に質問を送付してみたところ、「当社はVX4を(リースではなく)購入しており、日本での運行サービス提供を目指している。万博後も事業拡大を目指していく。航空料金は現時点では未定だが、距離単価でタクシーと同等を目指す計画」との回答。空飛ぶクルマによるエアタクシービジネス創出への意欲は高いとみていい。

 しかし、日本の空は大都市を中心に超過密だ。果たしてエアタクシーはどの程度のビジネスに成長し得るのだろうか。