2023年に入って一気にブームになった生成AI(人工知能)。だが、その生命線ともいわれる高性能半導体が品薄状態にある。こうした状況で企業各社は、コンピューティングパワーを確保するために奔走している。米ウォール・ストリート・ジャーナルが報じた。
生成AIに欠かせない画像処理半導体
それによると、品薄状態にあるのは、高性能の画像処理半導体(GPU)。GPUは主に画像関連の処理に用いられるが、機械学習や大規模言語モデル(LLM)のトレーニングにも使用される。高度な文章表現やリアルな画像を生成するAIシステムを構築するには、こうした半導体が必要になる。
ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、高性能GPUは、米エヌビディア(NVIDIA)がそのほとんどを製造している。だが昨今の生成AIブームにより、同社製GPUへの需要は、供給量を大幅に上回っている。
先の決算説明会で、米グーグルのスンダー・ピチャイCEO(最高経営責任者)は、同社がLLMの運用に自社開発半導体に加え、エヌビディア製GPUも利用していると明らかにした。
米起業家のイーロン・マスク氏は23年3月、「ChatGPT(チャットGPT)」を手がける米オープンAIと競合する新会社「X.AI社」を設立した。同氏はエヌビディアから約1万個の高性能GPUを購入したと報じられている。