大相撲の最多連勝記録はどれほど奇跡的だったのか(提供:アフロ)

「自分は文系だから……」。数学に抵抗感がある人にこそ知ってほしい、数学の話がある。素朴で身近な問いに説得力を持って答えるのに、数学は武器になるということだ。「あの横綱の連勝記録って、どれくらいすごいの?」「このソシャゲのガチャってどれくらい当たるの?」。TBSの人気クイズ番組「東大王」での優勝経験を持つ鶴崎修功氏が「数学沼」について解説する。

(*)本稿は『文系でも思わずハマる数学沼』(鶴崎修功、マガジンハウス)の一部を抜粋・再編集したものです。

 突然ですが、クイズです。

 Q:大相撲で、最多連勝記録69を持つ力士は誰?

 ……少し難しかったでしょうか。正解は「双葉山」です。双葉山(1912~1968)は戦前の力士で、第35代横綱です。残念ながら、1939年1月15日に前頭三枚目の安藝ノ海に惜しくも敗れてしまいますが、69連勝は現在でも、大相撲の最多連勝記録だそうです。

 実際、69連勝というのは、どれほどの偉業なのでしょうか。双葉山の横綱通算勝率は約88.8%なので、勝率9割として、69連勝する確率を計算してみることにしましょう。

 勝率9割の力士が69連勝する確率は、0.9の69乗を計算すれば、求めることができます。実際に計算してみると、0.00069619なので、約0.07%という結果が得られました。9割という高い勝率を持つ力士であっても、69連勝できる確率はたった0.07%に過ぎないのです。その点からも、双葉山の連勝記録がいかに偉大なことだったかがわかります。このように、1よりも小さな数を累乗していくと、急速に小さな数になっていくのです。