(英エコノミスト誌 2023年5月27日号)
トランプ氏がオーバルオフィスに復帰する可能性が高い。
ツイッター上のライブ放送でシステムトラブルに見舞われながらイーロン・マスク氏と対話を交わす様子は、大統領選挙への出馬表明としては異例の展開だった。
だが、ロン・デサンティス・フロリダ州知事の参戦により、共和党の大統領候補者指名争いが本格的に始まった。
序盤戦の州で投票が始まるのは来年1月だ。
予備選挙は予測するのが難しい。主要な州の有権者を対象に十分な質の世論調査を行おうとすれば、かなりの費用がかかるからだ。
だが、この但し書きを済ませると、ある候補者がすでにライバルに大きく――ひょっとしたら埋められないかもしれないほど――水をあけている。ドナルド・トランプ氏その人だ。
したがってトランプ氏は米国大統領の座に返り咲くチャンスを本当に手にしている。
ベッティング(賭博)市場では、トランプ氏がホワイトハウスに復帰する確率は3分の1と見られている。
選挙で負け続けてきたリーダー
2020年の大統領選挙でトランプ氏が敗れた後、自分の正気を保つために同氏の話題にあまり注目しないことにした読者なら、どうしてそんなことになるのか不思議に思うかもしれない。
なるほど、政党というものは敗者を起用し続けないのが普通だ。
トランプ氏は2018年の中間選挙でも2020年の大統領選挙でも、共和党を敗北に導いた。
「選挙を盗むのをやめさせよ」と支持者に促した際には、一部が連邦議会議事堂を襲撃した。その結果、警察官1人が脳梗塞で死亡し、4人が自殺を試みた。
その後、トランプ氏は性的暴行についても法的責任があると認定されている。共和党は本当に彼を大統領候補に再度指名するのだろうか。
答えはイエスだ。恐らく指名するだろう。