国際情勢に関してはロ中朝に言及

 尹大統領は、米韓の同盟を「自由という普遍的な価値を共に守護する」価値同盟と位置づけ、「虚偽扇動や偽りの情報で代表される反知性主義は民主主義を脅かすだけではなく、法の支配まで揺るがしている」として「血と汗で守ってきた大切な民主主義と法の支配システムが偽りの偽装勢力によって崩されないようにわれわれ皆が力を合わせて勇敢に闘わなければならない」と力説した。

 北朝鮮に対しては、レーガン元大統領の言葉を引用し、「われわれが容認できない地点があり、絶対に越えてはならない線がある」として、一層強化された拡大抑止措置合意に言及した。

 国際社会の現状についてはウクライナと中国問題に言及した。

 特に拍手が大きかった場面は、ウクライナ戦争に言及した時である。「ウクライナに対する戦争は国際規範を破った武力行使であり、一方的な現状変更試図」とし「大韓民国は正当な理由もなく敢行されたウクライナに対する武力行使を強力に糾弾する」と述べた時にはスタンディングオベーションが沸き起こった。

 中国については「インド太平洋地域内の規範基盤の秩序を強化するために、主要パートナーとの協力を包括的かつ重層的に拡大していくだろう」と若干トーンを下げて述べた。

 演説では、「私の名前は知らなくてもBTS・BLACKPINKはご存じだろう」とのジョークを交え、両国の文化コンテンツの交流、および協力の重要性に言及した。また演説には朝鮮戦争勇士の孫娘を招待し、朝鮮戦争に散った米国軍人への敬意を表した。

 総じて尹大統領の演説は、米国国民の情緒をよく理解し、敬意を表したものであった。これは韓国を世界的な文明国家として、また、尹大統領を、ユーモアを兼ね備えた見識のある指導者として印象づけるまたとない契機となったと考える。