人口の高齢化が排出量に及ぼす影響は?

 年齢とコホート(同時期に生まれた集団)の違いがCO2排出量にどのような影響をもたらすかについては、さまざまな議論がある。子どもや若者は教育関連の排出量が多く、高齢者は冷暖房に関する排出量が多い傾向がある、といった調査結果もある。

 排出につながる消費や投資の行動は、世代によっても異なっている。例えば、フランスでは、ベビーブーマー世代は前後の世代よりも排出量が多いとの調査結果がある*3

 また、OECD諸国のミレニアル世代の調査*4によると、自動車の運転免許保有者は、それより上の世代と比べて少ない。コホートや世代の交代により、自動車の運転が減れば、排出量が削減される可能性がある。

 中国、インドネシア、メキシコ、ブラジル、トルコなどでは、自動車やバイクは買わずにシェアして利用するといったシェアリングエコノミーが進んでいる。こうした動きが、交通の脱炭素化にどれだけ寄与しているのか、逆に公共交通機関の利用を減らして排出量の増加を招いているのか──については不明とされている。

 人口の高齢化が排出量に及ぼす影響については、専門家の間でも意見が分かれているようだ。高齢化が進むと経済の成長が鈍化して、その結果、排出量が減少するという見解がある*5

 その一方で、高齢者の1人暮らしが増えて、家庭でのエネルギー消費が増大し、排出量の増加につながるとの見方もある*6