姉川古戦場跡(滋賀県長浜市)

 NHK大河ドラマ『どうする家康』で、新しい歴史解釈を取り入れながらの演出が話題になっている。4月9日(日)は統一地方選挙の開票速報で大河ドラマは放送中止。第14回放送「金ヶ崎でどうする!」が待ち遠しい視聴者も多いことだろう。そこで今回は今後の見どころについて、『なにかと人間くさい徳川将軍』の著者で、偉人研究家の真山知幸氏が解説する。(JBpress編集部)

浅井長政の裏切りを知ったときに「どうする信長?」

 前回の第13回放送分「家康、都へゆく」では、織田信長が上洛を果たしたことで、徳川家康も家臣とともに京へと上る様子が描かれた。ドラマでは、信長の面前で家康が浅井長政に引き合わされている。長政もまた家康と同様に信長と同盟を結んでいる。さらに信長の妹である市を妻に迎えており、信長とは強いつながりを持っていた。

 もう少し前回放送分の説明を続けよう。家臣同士が揉めたことをきっかけにして、家康と長政は心を通わせる。

 家康は自分の家臣をかばってくれた長政の人格者ぶりに感激。一方の長政は、三河の地で存在感を発揮する家康に以前から着目していたらしい。大貫勇輔演じる浅井長政が、こんなセリフを言っている。

「私は三河の国を守り抜いてこられた徳川殿のご苦労を思い、我が身の糧としてまいりました」

 やはり見てくれている人は必ずどこかにいる。こんなふうに言ってくれる人がいるならば、家康の苦労も報われるというものである。

 だが、そんな好印象しかない男、浅井長政はやがて信長を裏切ることになる。前回の放送は、長政が自分の妻の市にそんな決意を打ち明けるシーンで終わった。

 市は信長の妹である。夫から「裏切る」という意思を聞かされたからには、何もアクションしないとは考えにくい。

 市の動きも含めて、信長は浅井の裏切りをどのように知り、どんな反応をするのか。『どうする家康』では、信長が終始強気なキャラなだけに、信長が焦るところがちょっと見てみたい気もする。

 織田信長の一代記である『信長公記』では、「浅井が背いたというのは誤報であろうと思った」と、信長が信じない様子が描かれている。そんな文献上の記述をどこまで踏襲するのかも含めて注目したい。