文=鷹橋 忍 写真=フォトライブラリー
「徳川十六将」の一人に数えられる武士
大河ドラマ『どうする家康』に登場する戦国の忍びは、非常にリアルに描かれていると評判である。そこで今回は、ドラマでは伊賀の忍びを束ねる、山田孝之が演じる服部半蔵(正成)を取り上げたい。
なお、服部半蔵の「半蔵(半三とも)」は通称であり、本来なら「服部正成」とすべきだが、服部半蔵の名で知られているので、ここでは半蔵と表記する。
服部氏は、伊賀の忍びの頭目的な存在であったと伝わる。
半蔵の父・服部保長は伊賀国阿拝郡服部郷(三重県伊賀市)出身で、江戸幕府が編纂した大名・旗本・諸家の系譜集『寛政重修諸家譜』によれば、足利将軍家に仕官した。
保長はその後、三河国に移り、松平清康(家康の祖父)、飯田基祐が演じた松平広忠(家康の父)、家康と三代に仕えたという。
半蔵は、その服部保長の五男として、天文11年(1542)、三河国で誕生した。家康と同じ年齢である。
半蔵も家康に仕えた。半蔵は三河国生まれの徳川譜代の家臣なのだ。
伊賀忍者のイメージが強い半蔵であるが、彼が忍びであったことを裏付ける史料は残っていない。
半蔵は「鬼の半蔵」の異名でとり、「徳川十六将」の一人に数えられる武士で、槍の達人だったといわれる。