米で差し止め要請、EU・英で規制準備中
ChatGPTの利用が世界中で爆発的に広がって以来、国全体で利用を禁止するという動きはイタリアが初めてだとウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。
一方で、高度な言語能力を持つAIサービスを巡っては、偽情報や安全性、データ保護に関しての懸念が指摘されており慎重論が浮上している。最近では、米非営利団体フューチャー・オブ・ライフ・インスティチュートが「巨大なAI実験を一時停止せよ」と題した書簡を公開して署名活動を始めた。業界でAI設計に関する安全基準を定めるまでの約6カ月間、次世代AIモデルのトレーニングを中止すべきだと訴えている。
ロイターによると、AIの倫理問題を調査する非営利団体、米AIデジタル政策センター(CAIDP)は23年3月30日、米連邦取引委員会(FTC)に対して、オープンAIが開発する大規模言語モデル「GPT-4」の商業利用を差し止めるよう要請した。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、英政府はこのほど、規制当局によるAI開発の監督手法をまとめた白書を公表した。安全性や透明性、公平性などの問題に焦点を当てているという。
EUでは、21年に提案されたAI使用規制法案に関する議論が最終段階に近づいている。これにより一部の顔認識技術の使用が禁止される可能性がある。オープンAIなどの企業は、AIモデルのトレーニングに利用するデータについて、リスク評価やデータ品質の検証を義務づけられる可能性があるという。
米国ではパブリッシャー(新聞社や出版社)が警戒している。パブリッシャーは、対話AIが自社サイトへの流入と広告収入を奪うのではないかと懸念している。AIモデルのトレーニングに使用されるコンテンツに対しては、正当な対価が支払われるべきだとの議論もある。
米国新聞協会の上級バイスプレジデント、ダニエル・コフィー氏は「私たちは価値のあるコンテンツを持っているが、それらは他者の収益を生み出すために利用されてしまっている。我々の投資や人間による仕事によって生み出された貴重なコンテンツであり、対価が支払われるべきだ」と指摘する。