米海軍のミサイル駆逐艦ミリアス(U.S. Navy photo by Photographer's Mate 2nd Class Daniel J. McLain., Public domain, via Wikimedia Commons)

(北村 淳:軍事社会学者)

 2023年3月23日(中国時間)、中国軍当局は「西沙諸島周辺の中国領海に違法に侵入し周辺海域の安全と安定を脅かした米海軍駆逐艦を中国海軍艦艇と航空機が追跡し、警告を発し追い払った」と発表した。

 これに対して米軍当局は「米海軍艦艇と航空機は常に国際法を遵守しており、今回の事案に関しても通常の任務を遂行していたに過ぎず、中国軍に追い払われた事実などない」と反論した。

FONOPを世界中の海で実施

 中国側が西沙諸島海域から追い払ったと主張しているアメリカ軍艦は、横須賀を本拠地にしているアメリカ海軍第7艦隊所属のミサイル駆逐艦ミリアスである。

 米海軍当局によると、ミリアスは海上自衛隊ミサイル駆逐艦と訓練を実施した後、南シナ海での「FONOP」(「公海航行自由原則維持のための作戦」)に向かい、まずは西沙諸島に向かった。西沙諸島は中国とベトナムと台湾が領有権紛争中であるが、現在は完全に中国が実効支配を続けている。ミリアスは西沙諸島周辺海域で中国側との接触があった後、予定通りに西沙諸島を離れ(中国側によると追い払われ)、現在、南シナ海でのFONOPを継続中という状況だ。