首脳会談のために来日した尹大統領(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(立花 志音:在韓ライター)

「お母さん、僕もオムライスが食べたくなった。あの、真ん中から割るやつ」

 韓国の尹大統領が日本を訪問した金曜日の夜、帰宅した息子がソファになだれ込みながら言った。僕「も」オムライスが食べたいということは、やっぱり息子もニュースか何かを見たのだろう。

 韓国の大統領が2国間の首脳会談のために来日するのは12年ぶりだそうな。暗黒の文政権の5年間の前にも、朴槿恵大統領の告げ口外交という期間があった。振り返ってみると、この10年ほど、ずっと韓国はグダグダしていた。日韓関係がグダグダしていたのではなく、「韓国が」グダグダしていたのである。

「何、オムライスって。誰の真似? 大統領?」

 岸田総理と尹大統領は会談した後に、すき焼きとオムライスで夕食会をはしごしたそうだ。特に2件目のオムライスが韓国では大注目され、SNSで様々な議論が飛び交っていた。

「ネットで騒がれてるよ。オムライスしか食べさせてもらえない大統領だって。寿司食べたいって言えばいいのにね。あれ、昔、作ってくれたじゃん。半熟卵のオムレツを割るやつ。今日はもう寝るから明日作って」

 韓国ネットではそんな話になっているのか。大統領が自ら食べたいと言ったオムライスなのに。「そんなものしか食べさせてもらえなかった哀れな大統領」に話はすり替わっていた。非常に残念である。

 尹大統領は「孤独のグルメ」が好きだと公言している。

「孤独のグルメ」は韓国では大人気ドラマだ。人気がありすぎて、韓国まで来て撮影しているほどだ。実は筆者の自宅から徒歩10分の、町の小さな食堂でも撮影されて大騒ぎになった。