ホーマー市で漁をする漁師の中には、割り当てが年間4万キロから9000キロに減らされたことで、オヒョウ漁から手を引いてしまった人もいる。

 また、ズワイガニの生息数も減っている。

 アメリカ海洋大気庁(NOAA)の調査委員会の調査によると、2018年は117億匹だったものが、2022年には19億匹まで激減していることが分かった。

 回復には今後6年から10年はかかると言われている。

 ズワイガニの激減に伴い、アラスカ州漁業狩猟局(ADFG)は2022年から23年まで、ズワイガニ漁を完全に中止することを決めた。

 また同州南西部ブリストル湾のタラバガニ漁に至ってはすでに2年連続で禁漁を決めている。

 北太平洋漁業委員会(NPFC)のビル・トゥウェイト代表(ワシントン州)は「ズワイガニだけでなく、今後はより多くの種類の海産物が同じ問題に直面することになるはず」と予測する。

 ベーリング海でいったい何が起きているのか。

 すぐに思いつくのが乱獲と気候変動である。調べると、両方の原因が指摘されていた。

 まず乱獲だが、ベーリング海では大規模なトロール漁が行われており、大船団が巨大な網を使って海底とその近くに生息する魚類を根こそぎ獲っていく現実がある。