トルコ大地震では4万人以上が犠牲になった(写真:AP/アフロ)

(山中 俊之:著述家/国際公共政策博士)

 犠牲者4万人を超えたトルコ・シリア大地震。心より犠牲者の方のご冥福をお祈りしたい。また、自宅を失うなど寒い中、極めて厳しい状況に置かれている被災者の皆さんの状況が改善することを希望している。わずかの額であるが、寄付をさせていただいた。

 私も阪神大震災で実家が全壊して、近い肉親を亡くしている。阪神大震災発生時、私はサウジアラビアに在勤していた。中東と大震災という2つの言葉が頭をよぎり、他人事と思えない。

 今回の大震災で世界のメディアがトルコに集まり、トルコについて多くの報道がなされている。もちろん、震災の実態を報道して、その人命救助や復興援助のあり方を問うものが大半だ。

 それらの報道が極めて重要なものであることは間違いない。同時に、トルコは、その地政学的立ち位置が世界的に見ても大変に重要な国だ。

 そこで本稿では、改めて地政学的に見たトルコの重要性や経済・ビジネスの今後の関係を考えてみたい。

ロシアをも抑える地政学的に超重要なトルコ

 よく知られる通り、トルコはヨーロッパとアジアの両方にまたがっている。そのため、地理的・歴史的に橋渡し的な役割、拠点的な役割を果たしてきたことが多い。改めて、地政学的な重要性を整理すると以下の通りになると思う。

 第一に、ボスフォラス海峡という地政学的なチョークポイントを押さえている点だ。