解任された高官をリストアップする。

 まずは、大統領府のキリロ・ティモシェンコ副長官である。彼は、高価なスポーツ用多目的車(SUV)を複数台所有していると非難されていた。これらの車はアメリカの自動車メーカーが住民避難用に提供したものである。

 次に、ヴャチェスラフ・シャポヴァロフ国防副大臣は、軍用食料品を小売価格よりも高値で調達していたという。無名の食品会社だっただけに、収賄が疑われている。

 なお、オレクシイ・レズニコフ国防相も同じことを疑われている。

 オレクシイ・シモネンコ副検事総長も解任された。正月にスペインで10日間の休暇を家族とともに過ごしていたという。成人男性の出国が厳しく制限される中での出来事である。

 その他にも、地域開発・領土副大臣のイワン・ルケリヤとヴャチェスラフ・ネゴダ、社会政策副大臣のヴィタリー・ムジチェンコ、さらにはドニプロペトロウシク、ザポリージャ、キーウ、スーミ、ヘルソン5州の知事が解任されている。

ウクライナの汚職体質はロシアと五十歩百歩

 Transparency Internationalの調査による腐敗認識指数世界ランキング(2021年)をみると、全対象国180カ国中、最もクリーンな1位はニュージーランド、2位がフィンランド、3位がデンマークとなっている。日本は18位である。ドイツが10位、イギリスが11位、カナダが13位、フランスは22位、アメリカは27位、イタリアが42位である。

 最下位の180位は南スーダンである。ウクライナは122位で、ロシアは136位である。いずれも汚職が当たり前の政治風土となっている。共産主義体制の下では、「万民が平等」という謳い文句とは正反対に、権力者に富が集中し、生き残るためには、上から下まで賄賂を使うのが日常茶飯事となっていた。ロシア人もウクライナ人もそのような社会の中で生きてきたのであり、それはソ連邦が解体した後も全く変わっていない。