ウクライナでも富を独占するオルガルヒ
ソ連邦崩壊の過程で、ロシアと同様に、ウクライナでも国営企業が民営化され、富が一部のオリガルヒ(政治的な影響力を行使する富裕な実業家)に集中する状況になった。
たとえば、ドネツクの大富豪リナト・アフメトフは最大の富豪で、マリウポリのアゾフスタリ製鉄所などを所有し、2022年1月現在で137億ドル(約1兆8700億円)の資産を保有していた。
親米派のオリガルヒのイーホル・コロモイスキー、「チョコレート王」のペトロ・ポロシェンコ前大統領も有名である。
また、「ガスの女王」と呼ばれ、政界に進出してオレンジ革命(2004年)のジャンヌ・ダルクと讃えられ、首相にもなったユーリヤ・ティモシェンコは、天然ガス部門のオリガルヒである。
また、2014年のマイダン革命でロシアに亡命したヴィクトル・ヤヌコーヴィチ元大統領は、自ら財閥を形成し、巨額の富を着服していたことが判明している。
オリガルヒのみならず、官僚機構を含むあらゆる社会システムに汚職がつきまとっており、賄賂なしには事が進まないソ連時代の悪弊がまだ続いているのである。
それが経済を低迷させ、ウクライナをヨーロッパの最貧国としたのである。そして、ウクライナ戦争はオリガルヒの所有する資産を激減させており、たとえばアフメトフは、資産を開戦前の3分の1にまで減らしているという。しかし、この戦争中でも汚職が止まないのである。