(舛添 要一:国際政治学者)
ウクライナへのイギリス、ドイツ、アメリカの戦車の供与が決まり、戦局に大きな影響を与えそうである。ウクライナは、NATOの兵器の実験場になった感じである。今後の戦争の行方について考えてみたい。
汚職が止まらないウクライナ
戦火のウクライナで、政府高官の汚職が相次いでいることは、先週の本コーナーで指摘した通りである。
(参考)【舛添直言】西側に戦車提供を求める裏で汚職まん延、ウクライナの「裏切り」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/73713)
その後も汚職や不祥事の情報が次々と入ってきている。
1月24日には、オレクシイ・シモネンコ副検事総長が正月にスペインで10日間の休暇を家族とともに過ごしていたという理由で解任された。成人男性の出国が厳しく制限される中での出来事である。業を煮やしたシュミハリ内閣は、公職にある者が正当な理由なく外国に渡航することを禁止した。
その27日に、『ウクラインスカ・プラウダ』紙は、「ガスの女王」と称される天然ガスのオリガルヒであるティモシェンコ元首相が、新年休暇をドバイで過ごしたと報じた。五つ星の最高級ホテルに滞在中の写真も掲載された。
当然のことながら、厳しく批判されている。彼女は、今も野党「祖国」の党首であり、最高議会(国会)の議員であるが、昨年の新年休暇もドバイで過ごしている。戦争で国民が塗炭の苦しみの中にある状況で、オリガルヒがいかに裕福であるかを示すエピソードでもある。汚職も貧富の格差もロシアと同じである。