(立花 志音:在韓ライター)
「あーっ! 今カメラに映ったかもしれない」
12月に入ったある日の休日、車を運転していた夫が叫ぶ。小学生と幼稚園児の子供を連れて、少し遠出をしている途中の出来事だった。
高校生の長男は期末試験に向けて猛勉強中、朝から塾に行った。試験前でなかったとしても、もう下の子たちと一緒に遊びに出かけることはめったにない。子守りに駆り出されるなら、日頃の睡眠不足を解消したいというのが、本音のところだろう。
長男を除く一家4人が乗った車は、交差点を「黄色になった瞬間」横断してしまったようだ。
韓国では街中の交差点のあらゆるところに、監視カメラがあり、速度違反と信号無視の車を発見することにいそしんでいる。
そして、信号が赤になる前の黄色だったとしても、横断した場合、証拠写真と罰金7万ウォン(約7000円)の請求書が送られてくる。
車は急には止まれない。交差点の停止線ギリギリのところで黄色に変わっても、急ブレーキが踏めず、やむを得ず渡ってしまうこともあるだろう。でも、その交差点にカメラがある場合に限るが、韓国では完全にアウトらしい。
筆者は、ペーパードライバーである。地方の割には交通の便が悪くないところに住んでいるので、そんなに不自由はしていない。
それより何より、韓国人の運転マナーはお世辞にも良いとは言えないため、車を運転したいとは思わないのだ。
ふた昔前は、交通事故率世界一という残念な国だった。大体の韓国人はハンドルを握ると性格が荒くなる。ただでさえ感情の起伏が激しい彼らが運転すると、頻繁にクラクションの音が飛び交う。
日本の赤ちゃんは「クルマ」を「ブーブー」と呼ぶだろう。しかし韓国では「パパーン」と呼ぶ。クラクションの音だ。これだけでも、普段からどれだけ韓国人の運転が、乱雑で危険なのかはお分かりになるだろう。
そんなお国で運転したいとは思えず、車の運転は夫に任せている。
夫が運転する車の助手席に乗っている筆者の口癖は、「ウインカー出して!!」である。