同じ猫と思ったら違う猫だった。一匹ずつ、写真に収め、エクセルで仕分け。似たような何百もの猫の細かな違いをイラストにして覚えようと神経衰弱のカードを作成するメンバー。おしゃれに楽しく活動する女性たちのアイデアに脱帽だ。
思うように進まない「引っ越し」プロジェクト
猫たちを一斉に一箇所に移住させるわけにもいかない。人間に自ら近づいたり、膝に乗ってきたりする猫は元飼い猫の可能性が高い。野良で生まれ育った子たちは自分から人に愛想を振り撒いたりしない。人慣れした猫は保護して、里親を探す。
家猫に向かない猫は団地の外で、別のエリアで地域猫として生かす。ただ、団地のすぐ脇には大きな道路があり、交通事故が心配。できるだけ、道路側に行かせないように誘導しなければならない。メンバーに連れられて大移動する猫の一行はまるで「ハーメルンの笛吹き」だ。
捕獲して、新しい地の塀の中で徐々に慣れさせ、猫たちの気持ちが決まったら、外に出てもらう。当然だが、猫への対処は一匹ずつだ。
工事は待ってくれない。猫の捕獲は終わらない。猫たちの居場所は刻一刻と失われつつあるのに、ついに団地全体がフェンスで囲まれ、メンバーたちは敷地内に入れなくなった。猫はまだ、中にいる。隙間を探して、柵越しに餌をあげ続けるメンバー。せっかく外に出したのに、団地に戻る猫もいる。猫は自由気まま。人の思い通りになんてならない。それが猫の魅力なのに、可愛さのあまり、人間はつい世話を焼き過ぎてしまう。