死者・行方不明者6437人の原因となった活断層が地面に姿をみせた場所は、国の天然記念物に指定され、淡路島の野島断層保存館で見ることができる(写真)。活断層の動きでずれた生垣や、地割れ、断層の断面などが地震直後の姿のまま残されている。

野島断層保存館では、地面を掘り下げた断面で、活断層のずれを見ることができる

 この地面のひび割れが、地下十数キロまで繋がっていて、1〜2メートルほど一気にずれ動き、多くの命を奪った。こんな活断層が、国内には2000以上もあり、まだ見つかっていないものも多い。それをふまえると、地震対策の難しさを容易に想像することができる。

南海トラフ地震や首都直下地震の前に

「次の地震」と言われると、首都直下地震や、南海トラフ地震を思い浮かべる人が多いだろう。地震調査研究推進本部(以下、地震本部)は、首都直下地震の確率は今後30年以内に70%程度、南海トラフ地震の確率は30年以内に70〜80%と発表している*2

 しかし、活断層も侮れない。南海トラフ地震の前後に、内陸の活断層地震が増えることが歴史上知られており、すでに活動期に入っている可能性が指摘されている*3。東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)で地面のひずみが変わってしまった影響で、活断層地震が誘発される可能性もある。

 地震本部は、全国で35の活断層のグループを「Sランク」(地震発生確率が活断層の中では高いグループ)と評価している。この中には、大阪城の真下を貫く上町断層帯、福岡市の真下にある警固(けご)断層帯など大都市に存在するものもある。

 南海トラフ地震のような「超大物」に気を取られていると、足元の地震に油断してしまうかもしれない。東日本大震災の死因の約9割は溺死、阪神・淡路大震災の死因のほとんどは家屋の倒壊や家具などの転倒による圧迫死だったが、活断層地震が引き起こす都市大火というシナリオも要注意だ。

*2 地震調査研究推進本部 今までに公表した活断層及び海溝型地震の長期評価結果一覧(https://www.jishin.go.jp/main/choukihyoka/ichiran.pdf

*3 地震調査研究推進本部 南海トラフの地震活動の長期評価(第二版)について 2013年5月 p.28(https://www.jishin.go.jp/main/chousa/kaikou_pdf/nankai_2.pdf