市立保育園の廃止を巡って市長が辞任した東京都小金井市の行方やいかに・・・

 中央政界でも迷走と空転が続く自由民主党ですが、ついに地方では機能不全に陥っている例が明らかになりました。

 11月20日に告示された東京都小金井市長選挙です。

 小金井市の前市長が市立保育園の「廃園」を巡って混乱を生み出し、自分は辞職し市長選には立候補しないという、いわば「市政の投げ出し」を行った事実は、本連載でもすでに取り扱った(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/72243)通りです。

 そんなことから推移を見守っていた「小金井市長選」でしたが、図らずもそこから見えてきたのは「自民党の動脈硬化」という、全く別の現実でした。

 まあ端的には自民党ですが、正確には「国政政党全般の」と言うべきかもしれません。

 保守系候補者を、一人も擁立できなかったのです。11月20日の市長選告示まで「日にちがなかった」などの言い訳もあるようですが・・・。

 早くから立候補を表明していたのは現職市議が辞職して選挙に備えた無所属の白井亨候補(47)ただ独り。白井候補は国政政党などに所属しない市民会派の現職議員でした。

 突然市長が辞めるのもどうかしていますが、その後に市長選に候補を立てる既成政党、特に国政政党が全くないというのも、なかなかすごい状況です。

 告示直前になっても白井陣営以外に立候補の気配はなく、前の週11月15日時点では(https://www.tokyo-np.co.jp/article/214116?rct=koganei_election2022)「すわ、無投票当選か?」「いや、それだけは避けたい、市民に信を問うて選挙戦を戦うべき」などといった観測が流れていました。

 幸いにも(?)2日前になって滑り込み的に共産党が候補を立てることで、(https://www.tokyo-np.co.jp/article/214758?rct=koganei_election2022)無投票の可能性はなくなりました。

 あえて言うなら国政政党の面目を果たしたのは共産党だけなのかもしれません。

 11月18日、日本共産党北多摩中部地区委員会の小泉民未嗣(たみじ)委員長(44)=無所属、共産推薦=が立候補を届け出、その他もう一人出馬の可能性が伝えられていた市民候補陣営が立候補を見送ったとの報道がありました。

 これで形の上では「一騎打ち」の小金井市長選の投票実施となったわけです。

 共産党地区委員長の小泉候補は2007年、2011年とすでに2回、小金井市長選に挑戦の経験があり、初回は29歳での擁立だったようです。

 2009年、14年と衆院選にも2回出馬、いずれも惜敗していますが(https://go2senkyo.com/seijika/21035)、地元の共産党役員が出馬して、何とか民主主義的な選挙手続きが全うされた。

 投票は11月27日に行われる予定です。ということで、無風選挙転じて2日前になってようやく市民候補と共産党の一騎打ちになった・・・というのですが、ここで誰もが疑問に思うのではないでしょうか。

「保守はどうした?」「既成の国政政党は何をしちょるのか?」と。