均一になだらかに変形してくれればよいが、複雑な地質構造・変形構造なので、不規則な変動が起きたり、地盤が破壊されたりする恐れがある。激しい揺れと、岩盤にかかる力の変化も重なり、地下水が噴出したり、出入り口付近で山崩れが起きたりすることも予想される。
リニア新幹線は、磁力で車両の位置を保つので地震で脱線することはないのが強みとされている。しかしそれを支える構造物が破壊されたり、落下物と列車が衝突したりすると、被害は免れない。
耐震基準は常に発展途上
一方、JR東海は、地震対応についてこんな説明をしている。
「一般に地下空間は地震時の揺れが小さく、災害に強いという特性があります。また、土木構造物については、国の最新の基準を踏まえて十分な耐震性を有するように設計しています。東日本大震災、熊本地震の際も、この基準等を踏まえて建設や補強された新幹線構造物には大きな被害は生じなかったと承知しています」(JR東海のウェブ「リニア中央新幹線」のFAQより*4)
上越新幹線で被害が生じたのは古いトンネルの工法(矢板工法)で作られた区間で、リニアではそれより強い工法を使っているともJR東海は説明している。
しかし構造物の基準は地震のたびに見直され、それでも被害が生じ、また基準が強化されることの繰り返しで、常に発展途上だ。
トンネルではないが、たとえば1995年の阪神・淡路大震災で、山陽新幹線は5か所落橋し、高架の柱700か所以上が損傷した。基準が強化され、1995年以前の新幹線の土木構造物も耐震補強されたが、2011年の東日本大震災では再び被害が発生。その後も2022年3月の福島県沖地震(M7.4)でも脱線するなど、被害は続いている。
*4 JR東海 リニア中央新幹線FAQ 〈異常時の対策についてQ.3〉
https://linear-chuo-shinkansen.jr-central.co.jp/faq/