(豊 璋:韓国人コンサルタント)
韓国では完全な人脈社会だ。人脈なくして、100%成り上がれないシステムになっている。そんな人脈のない人たちの中で、成り上がりの頂点とされているのが大統領である。人脈がない人は、いわゆる左派思想に傾倒する以外に成り上がることができない。
韓国は1965年基本条約締結以降、日本の助けを受け発展を遂げた。その経緯で生まれたのが財閥だ。
韓国の財閥は、日本で育った私から見ればただの「成金」にしか見えないが、人脈がすべての今の社会の仕組みはこの財閥の誕生によって生み出されたと言っても過言ではない。
現在、韓国の財閥企業はトップから末端まで、すべて大学や親の人脈で繋がっている。
私自身も人脈豊富なエリート、富裕層と付き合いでこんなことがあった。
以前、日本のお菓子メーカーが訪韓する際に、韓国市場で販売するための商談の席を設けた。その時に、国内で火花を散らす大手コンビニ3社各2人のバイヤーと、大手スーパーのバイヤー3人が一緒に来たのだ。
一緒に来るのは良いとしても、商談の席に全員が同席するのは異様である。
提案商品が日本で有名な人気商品であれば、そういったこともあるかもしれないが、今回は1個20~30円のチョコレートバーの商談である。
訪韓した日本メーカーは「4社同時、同席での商談はしたことがない、こんな商談を、日本でどう報告すればいいのだろうか」と戸惑っていたことを覚えている。
韓国の小売り業界は、百貨店をピラミッドの頂上に、モール、アウトレット、スーパー、コンビニと序列が決まっている。スーパーに先に入った商品を百貨店で販売するのは不可能に近いと言われているほど、この業界の序列は徹底している。
そういった変な力関係を知る私は、スーパー以下が輸入し、売れた場合の保険(百貨店にも卸せるように)のために、百貨店バイヤーに先に声をかけた。コンビニとスーパーのバイヤーが一堂に会したのは、日本メーカーの商談を百貨店バイヤーにお願いし、韓国人バイヤーの手配を任せた結果なのだ。
当然、商談に来たバイヤーは百貨店バイヤーの大学の先輩、後輩である。こうやって人脈を頼れる者のみがいろんなチャンスに巡り合い、成り上がる。
韓国では、親がよほどの金持ち(成金)でない限り成り上がることができない。それゆえに、人脈がない者は、サムスンやLG、SK Telecomといった大手に入るためになりふり構わぬ競争人生を送っている。
そんな韓国の庶民の間には、進路を決める際によく使われる言葉がある。それは、「金がなければ弁護士になれ」である。