韓国で発生した通信アプリ「カカオトーク」の障害が大きな批判を生んだ。
メディアは連日カカオ批判を続け、創業者や経営者が国会に招致されて厳しい質問を浴びた。わずか10年で「新財閥」とも呼ばれるまでに急成長したカカオへの批判が噴出してしまった。
通信障害が起きたのは2022年10月15日土曜日の午後だった。
土曜日午後に起きた通信障害
ソウル郊外の板橋(パンギョ)にあるカカオのデータセンターで火災が発生したためだ。
筆者はこの日、韓国人2人と夕食の約束をしていた。1人が少し遅れて到着し「カカオを送ったのですが」と言ったが、届いていなかった。
その場はそのまま話題にもならなかったが、帰宅してニュースで火災のことを知った。
翌朝から韓国のメディアではカカオの不通を大々的に報道する批判的な報道が続いた。主要紙は1面トップ、テレビのニュースもトップでの報道が続いた。
文字メッセージのやり取りは比較的早く部分復旧したため、筆者のような「ライトユーザー」はほとんど影響がなかったが、様々な分野で大きな影響や被害が出たということだ。
毎日使っていて深く考えたこともなかったが、気付かない間にカカオが韓国社会の重大インフラになっていたのだ。
スマホの10台に9台にはカカオ
カカオが「カカオトーク」のサービスを始めたのが2010年3月。アイフォンの登場で生まれた「スマホ生態系」に乗って爆発的に普及した。
「韓国で普及しているスマホの10台に9台にはカカオのアプリが入っている」
韓国メディアは、こう報じている。その数は4500万とも5000万ともいう。
友人や家族とのやり取り以外に、業務上のメッセージやファイルのやり取りにも、カカオトークが広く普及している。
機密保持が必要な場合以外は、ほとんどの場合、「カカオトーク」ですませることが韓国では定着している。
写真やファイルのやり取りの復旧に時間がかかったため、週明けになっても少なからぬ影響があった。
スマホを通して全人口の9割がつながっている。カカオトークは、韓国では重要インフラになっていたのだ。