「高温克服革新型クーリングハウス」の輸出推しだった文在寅前大統領(写真:AP/アフロ)

(羽田 真代:在韓ビジネスライター)

 文在寅(ムン・ジェイン)氏が大統領だったときに、「輸出孝行になるだろう」と大絶賛した事業があった。「輸出孝行」というのは、海外でよく売れる国産商品や技術を比喩的に指す言葉だ。

 彼が絶賛したのは、農村振興庁が取り組んでいた「高温克服革新型クーリングハウス」という国策事業である。高温克服革新型クーリングハウスとは、微細霧装置とアルミニウムカーテンで温度と湿度を調節する設備のことで、アラブ首長国連邦・ドバイに試験設置する計画で進められていた。

 文前大統領は、2019年12月12日に国立園芸特作科学院にあるバラクーリングハウスを訪問。翌年5月には自身のフェイスブックに、クーリングハウスで栽培されたバラの花束の写真を掲載し、「韓国品種のバラだけでなく、クーリングハウスの設備とシステムまで一緒に輸出できる。韓国農業プラント輸出の孝行になるだろう」とコメントした。

 この国策事業が発足してから3年。これまでクーリングハウスとバラが海外に輸出された事例は一度もない。目標としていたドバイへの装置輸出も流れたようだ。

 この事業を農村振興庁が世間に公表した当時、文政権の側近が特恵を受けたという疑惑が浮上した。2020年2月に農村振興庁が公表した報告書に、「特定人だけが課題遂行」「青瓦台(大統領府)内外で総理の知人のためだという噂が広範囲に広がっている」「今後の特恵問題発生憂慮」といった内容が書かれていたからだ。

 加えて、「新規課題公募手続きが進行される前に特定業者の工事が開始」「庁長以外の職員の意見は温室開発者が聞き入れない」という、事業を遂行するうえでの問題点も指摘されていた。

 これら内容を最近になって新たに問題提起した「国民の力」の安炳吉(アン・ビョンギル)議員によると、当時の担当者が25億ウォン(約2億5500万円)の予算を受給して研究責任を引き受けた事業開始日は2020年4月22日だったが、実際の着工日は2020年1月であったという。

 安議員は今後「共に民主党」側に説明を求めるだろう。

 一方で、現大統領の尹錫悦(ユン・ソンニョル)氏は2022年10月11日に、「第45回国務会議」を主宰した。このとき、歓談場に用意されたパンが韓国国内でにわかに話題となっている。